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2019年9月16日 (月)

呪縛から逃れるシリース(1)グラスバックとソリッドバック

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グラスバックとソリッドバック比較

  メリット デメリット
グラスバック
  • 機械を見たいときに見られる。

  • 裏蓋が1mm程度厚くなり、時計全体の重心が手首から浮き、座りが悪くなる。
  • 装着感確保のため、ラグ周りなどデザインの自由度がソリッドバックよりも制限される。
  • 紫外線等により油の劣化が早まる。
  • 汗で腕に張り付く。
  • ガラス面は耐磁性能がない。
ソリッドバック
  • 裏蓋が薄くなり、手首への座りが良くなる。
  • デザインの自由度が増す。
  • 機械に光が届かないため油の劣化がグラスバックより遅い。
  • 特に汗をかいた際、装着感はグラスバックより優れる。

  • 機械は想像して楽しむもの。

機械式時計業界に一石を投じるシリーズを、唐突に始めることにする。最初はグラスバックとソリッドバック。

上記の通りメリデメは全て裏腹である。
そしていつも機械を見られること以外、ソリッドバックの方が良いことづくめである。

クオーツウォッチが世界を席巻したのちの機械式時計復権に、グラスバックは差別化を図る目的を十分に果たしたと言えるが、使う上でのデメリットは無視できない。なお最高の実用時計であるロレックスもソリッドバックが基本である。

そもそもグラスバックを前提に設計してる現代の時計は、ソリッドバックしかなかった時代の時計よりも一般的に1mm程度は裏蓋が分厚い。そのためソリッドバック時代に近い許容できる装着感を今設計しているグラスバック時計にもたらすために、下がったラグや長いラグのデザインの時計が多くなる。あるいはラグが極端に下がったように見えないよう、シリンダー状のケースを採用するなどケースバックではなくケースサイドを厚くする。更にはバネ棒の穴の位置でも微調整している。要はいろいろと工夫して、裏側の厚さをカバーしようとデザインされている。

一方で、狙ったデザインがソリッドバック時代の雰囲気であるならば、グラスバックを採用することでその雰囲気は自ずと異なっており、デザイン上で苦心することになり、実際にそのようなものを多く感じる。

ロイヤルオークなどソリッドバックとして世に出たものを、後世に無理やりグラスバックにすると、デザイン上であれこれ微調整せざるを得ないのは自明である。例えば5402と15202では、ブレスの厚さやラグ周りなど、オリジナルとは全く別物である。結果時計全体が厚くなり、オリジナルが持っていた全体的な薄さや軽さとはまるで異なる雰囲気になっている。もちろんどちらが良いと感じるかは主観であるが、ジェンタ翁の作りたかったものは疑いなく5402であろう。

機械式であることの自己主張。中身を見せることでクオーツと差別化してきた高級機械式時計業界であるが、今はまさにその呪縛に囚われている状況とも感じられる。逆に全く呪縛に囚われていないのはロレックスくらいであろう。これは完全なる私見であるが、見て楽しめる仕上げを持つ機械を積むのは、デュフォーさんの時計などごく一部の独立系とダトグラフくらいであろう。 

ここで本来の「時計」とはどうあるべきか考えてみると、もう答えは出ていると思う。さあ皆様も #日本ソリッドバック党へ。ようこそ。

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