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2016年7月30日 (土)

Editorial – “耳年増”の評価

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最近感じたことをつらつらと。何を言いたいのかわからない文章になると思うのでそのつもりで。

世間に生息する耳年増の時計Geek達、その典型が私である。
そして、世間一般のなんとなくコンセンサスを得ているような感じの、それぞれの時計に対する評価というものがある。この評価というものは、時計に関してある程度以上詳しそうな、あらゆる人たちがこれまで発信してきた内容をごちゃ混ぜにしたようなものだ。あらゆる人とは、WebsiteやBlogを書いている人、雑誌に寄稿している人、あるいは2chの時計板やFB,Twitterなどでいろいろ書いている人などを指す。ある時計に対する評判とは、例えばパテックの最高の三針はトロピカルのえくぼダイヤルだとか、APのVZはデュフォーさんがシンプリの機械の参考にしてるから凄いだとか、そういう評価である。
そしてそれは時計の中古価格にももちろん影響を与え、中古価格をコントロールしたいような人たちもその”評価すること”に参戦する。

純粋にその好きな時計を語りたいという思いから、発信をし始める人がいる。その時計の良さを語れば、多少の自慢も入るだろう。
そしてまだ時計を購入する前なら、往々にして世間的な評価というものは気になるもので、事前にいろいろ調べたりもするだろう。
一方で全く調べずに、ただ好きだから買う、という人もなかにはいるだろう。調べるのが面倒くさいからかもしれないが、それはひとつの理想ではある。
しかしろくに調べもせずに”ただ好きだから買う”ことは、購入原資に限りがある小市民にはなかなかできることではない。だからこの”よくわからない世間的になんとなくコンセンサスを得ているような感じの評価”を気にするし、web上で調べ始めると、それらをあちこちで目にするようになる。
このファジーな評価とは、いったい何なのだ。ここで考慮したほうが良いことは、好き嫌い、良い悪いを発信する者の多くは、時計を弄ることについてはほぼ素人であるということだ。もちろん私も含めて。

では玄人とはなんだろう。
それは、ここでは業界の中に身を置き、しかも”セールスではなく”、時計の設計や組み立て、修理あるいはオーバーホールをするような技術者たちを指すとしよう。
彼らは、一般的にほとんど発信をしない。むしろ販売店の後ろにおり、完全に隠れている。中古時計販売店はほぼ例外なく、実際に修理をお願いしている時計師や時計修理店の正体を隠す。例外的に表に現れている時計師は、メーカーの中にいる人か、独立して時計修理を生業としている人たちである。
そして彼らは商売柄、好き嫌いや良い悪いを殆どオープンにしない。メーカー社員は自社製品の良さを語るが、独立している時計(修理)師は、彼らの感想をオープンにしたら、客足が遠のくのが一般的であるため、多くを語らないのだ。

そしてこの趣味をある程度やってきて改めて気が付いたことは、私のような耳年増の素人は、特に機械のことなど何もわかっていない、ということだ。外装の良い悪い、好き嫌いは雄弁に語るけど。

世間一般で素晴らしいとされている時計や機械は間違いなくある。が、それは往々にして時計師の評価ではない。そして時計師の評価と耳年増の評価が一致している数少ない例も存在する。一例をあげると、それはPPの27-460である。この機械は本当に凄いことが良く分かった。あの自動巻きの機構だけでももはや悶絶である。一方でその前の機械はどうだろうか。みんな、見応えのあるギョーシェが施されたローターに目を奪われてしまっているようだ。それ以上はここでは書かないことにしておく。ただし、TZのWalt Odetsの記事で十分に伝わる筈だ。
機械の設計者の意図をくみ取るには設計図を見ることも重要であるが、分解して組み立ててみることでそれは十二分なのだろう。そして分解・組立が出来るような人は、たいがいそれを生業としている。繰り返すが彼らは彼らの感想や評価を、ほとんどオープンには語らないのである。

時計師が絶賛する機械が至高である、と手放しで言うつもりはないが、自戒を込めて、この世界は耳年増の素人の評価ばかりが目に付くので、あえて書いてみた。

これ以上は単なる好き嫌い評価サイコー論に堂々巡りするのでここらへんで。

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