« 2015年10月 | トップページ | 2016年1月 »

2015年12月12日 (土)

Jaeger LeCoultre Duoplan

1930年代製と思しきDuoplanを手に入れた。入手は2年以上も前になるが、やっと文章化する気になったので例によって駄文をアップする。

Duo1_3

機械はcal.409であり、この機械が入った時計をDuoplanという。この時計の特徴は何と言ってもそのサイズだ。極小のレクタングルで、バックワインドである。機械は二階建てサンドイッチ構造で、巻き芯を90度曲げるためのスペースすらなく、バックワインドなのだ。

この機械の構造を維持して世界最小にまでした機械が有名な101であり、Duoplanの一員とも言える。

この時計を語ることは機械のことを語るにほぼ等しいが、一応外装その他についても述べておく。

ケースはSSで、出来は当時としてもごく平均的である。バックケースは6時側にヒンジがついていて、12時側から開けることが可能。しかし開いたところで文字盤が風防を介さずに見えるようになるだけであり、機械とご対面するには分解が必要だ。

しかしながらこの機械は非常に繊細で、素人がこれ以上手出しすることは危険と判断し、ご対面は果たせていない。

文字盤も小さくややヤレているものの年代を考えれば十分に綺麗なほうであろう。古い時代に書き直している可能性もあるものの直感的に、あるいは雰囲気的におそらくオリジナルと思う。

極小の2本の針は青針だ。時代を考えれば平均的な出来だとは思うが、現在の水準からすれば立体的で高い質を持つ。

ラグ幅は12mmでバンドは特注したものである。バックワインドの最大の弱点は汗であり、実用性を持たせるためにクロコのベースも簡単な図面を送って造ってもらった。実は同じ構造のベルトが付属していたが、それなりに経年していたため、黒クロコであらためて別作したものである。バックワインドの時計を実用するためには良いアイディアだと思っており、Futurmaticなどのオーナーも参考になるだろう。

Duo2

さて肝心の(対面を果たせていない)機械である。テンプとガンギ車を機械の末にレイアウトし、そこから輪列がほぼ香箱まで一直線である。見ようによっては、JLCの昔の8日巻きクロック(Cal.210など)の構造が、ギュッと圧縮され極小になっているようなものにも見える。あるいはコルムの名作ゴールデンブリッジも同じようなものと言えるかも知れない。

1930年代といえばまだ懐中も普通に売られていた時代ではあるが、女性用の所謂南京虫も出現していた時期である。しかしそのなかでもここまで小さい機械に一気に飛躍するといのも面白い。なお1931年にレベルソが生まれており、当初短期間はTavannesの機械が採用されていたのは有名な話で、そののち自社製(Cal.424,437 etc,)にリプレースされている。

この頃JLCが製造していた機械は、腕時計用に限って言えば

丸型:117,122,168,169,426,・・・

角型:101,104,403,409,424,・・・

などであり、丸型でいえば7~9リーニュ程度、または角型の小型ムーブメントばかりであった。すなわち懐中用の機械とは異なり腕時計用の機械は小さいもの、という思想が明確であったことが伺える。そんななか小型化にまい進したのがJLCであり、あげく伝説の101を完成させてしまう。

すなわちこの409は、極力小さい機械を、とエスカレートしていく過程の中で生まれた機械である。

参考にDuoplanファミリーを一覧にする。

こんな表は見たことが無いので参考資料にはなると思う(けど誰が必要とするんだ?)

Table1

小さいということはどんなケースにも入る、ということだ。そういったことも理由なのかDuoplanという時計はデザインが非常に多岐にわたる。EWC銘でカルティエにも卸していたし、自社ではカフリンクスの中に埋め込むことなどもやっていた。そんなこんなでDuoplanはバリエーション豊かであり、現存する個体数も少なくないのだが、一方同じものを、という観点で探すと非常に苦労する。同じものはほとんど市場に無いのである。

私の個体は、バリエーションが多い中では極めて中庸なデザインのものであり、Duoplanでイメージする時計はほぼこんな感じだろう。時計そのものも小さいが文字盤や針も本当に小さい。

バックワインドの機械は初めて所有したが、その巻き味はカリカリとしていて好感触である。なお一般的な竜頭巻きと違い反時計方向に巻くため、間違えないように竜頭(というよりも丸いプレート)には、巻く方向が矢印で記載されている。なお針合わせは、普通の竜頭と同じように一段引けば良い。

Duo3

JLCコレクターとして、その歴史的な存在感からこのDuoplanはキープしておかなくてはならない時計であると考えており、ある意味資料的なものと位置づけていた。

 

しかし手に入れてみれば、古いものにも係らず30時間以上のパワーリザーブを持ち、かつ24時間の精度でもおそらく30秒以内に収まる(2針なのでよくわからないけど・・・)程度には調整されており、全く普通に実用できるところはさすがJLCである。

もし市場で見つけたら、奥様へのプレゼント用などにもいかが?

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2015年10月 | トップページ | 2016年1月 »