今年の新作で心に残ったもの
デュオメトレとLABは書いたので、あと2つほど。
一つは、Breguetトラディションシリーズの究極形であろう、La Tradition Tourbillon。スースクリプションの見た目にフュジーの組み合わせは、まあ本来はあまり見ないものであろうが、いずれにせよ狙った年代の意匠とは良くマッチするものであり、非常に美しい。これにブレゲ(レマニア)お得意の渦巻きを組み合わせることでフュジーによるトルクの安定に基づく等時性の確保と、姿勢差を無くす、ということで腕時計としての理想形を追求している。このコンセプトが一目でプール・ル・メリットと同じものだと気がつく人は多いであろう。あれも凄いがこれも凄い。フュジー大好きな私としてはただ単に拍手喝さいである。しかしながら、全く現実的では無い価格設定になるのはまちがいない。渦巻きを無くしてフュジーだけの三針ってどうだろう?かなり良いのでは無いか?また渦巻きではなく、デテントを組み合わせたほうがより私としてはツボにはまる。コンセプトはランゲのパクリかもしれないが、スースクリプションに起源を置くBreguetならではの違和感の無さでこれを作ってしまったのはさすがである。しかしこのサイズのチェーンを作る技術はどこから復刻されたのであろう?
もう一つは、意外かも知れないが、GPのトリカレムーン(Vintage1966)である。今時の時計とは思えない、トリカレとして王道のデザイン。外装パーツの隙の無さ。変態モデルばかり見慣れてしまったせいか、本当にこのようなクラシカルなモデルが清清しく見える。ああ、こういう伝統的な、機械式時計として極めて真っ当な時計と言うのは、やはり素晴らしい。昨年出した三針もかなり好みではあったが、こちらのほうがより魅力的である。実に素晴らしいデザインだ。理想的にはセンターセコンドでは無くスモールセコンド、ポインターデイトであろうがいいモノはいい。
機械式時計らしいデザインとは何であろうか?ただ単に機械を表から一部見えるようにすることか?いやそうではなく、伝統的な、機械として実現可能であり理にかなったデザインはやはり存在する。例えばデイ・マンスのギシェの位置は、カレンダーディスクがあるべき位置によって決まってくるし、そういったものが当たり前に再現されていることが伝統的な、機械式時計らしいデザインと言えるのであろう。あまりに奇抜なものが多い中、GPのデザインは久しぶりに見た安心感に満ちたものであった。
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