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2006年9月18日 (月)

トリプティックを見てきた

表参道ヒルズの地下にそれは鎮座していた。警備員の「足下に注意してください」という言葉を耳に、階段を二段上るとガラスケースにその巨大なレベルソが見えた。照明が下からなので、どうも肝心のテンプ周りにはうまく光が回らずにいまいちな演出だとは思ったが、しかしそれはデテント特有のデッドビートで回転していた。おそらく5振動の半分で脱進しているのだと思う。テンプ周りはすっぽりと深く突き抜けており、遠くに地板が見える、そんな印象だ。

この時計は、レベルソのコンプリケーションの最高峰としてレベルソ生誕75周年の今年、SIHHで発表されたJLCの限定モデルである。価格は4500万スイスフランと言われており、現在ではまだこの一本しか無いらしい。しかしこれをJLCは本気で量産するらしいのだ。しかしながらそんな経済力があるはずも無い私はこのイベントを逃せば一生現物を拝むことは無いと思い、表参道まで馳せ参じた次第だ。

会場は本館中央地下、ヒルズに来た客ならいやでも目に入る。高級感の出し方、外のフラッグなどさすがリシュモン。演出はソツが無い。入ると一人一人にカタログをくれる。手前のケースから順に見て回ると、はじめて日本に来たとおぼしきモデルもあり、JLCのコレクターとしては見て損は無い。一番手前のブースには31年製のオリジナルがあるが、展示にいきなり間違いを発見してしまったのはご愛嬌。さて奥に進むと時計師がデモを行っており、スクアドラホームタイムのCal.977を組み立てていた。キズミでよく機械を見せてもらったが、これは975系の最も理想的な(開発の本来の姿をした)キャリバーであると再確認した。仕上げも一時期より安定したような気がして、悪くない。やはり975系は使ってみたいと思わせる機械である。

さて会場中央にその巨大レベルソはある。ケースは、もはや腕時計としては完全に破綻しているとしか言いようが無い。それほど巨大で、分厚い。買っても使う人はいないであろうが、サイズ的には懐中クラスである。SIHHでは多くの有力バイヤーの手に取られたであろう、そんなことを思わせるキズがケースには結構ついており、改めてプロトであることを認識させられた。このような超高級時計にキズがついているというのは、一種異様でむしろ迫力がある。ケース、文字盤、針の仕上げはさすがJLCクオリティ。B面の天体文字盤は素晴らしい。C面(!)のパーペは、なんか取ってつけたようでなんかなあ?的であったがこれはイロモノなのでまあ良いか。ただクレードルの厚さもそこそこあるのでやはりトータルではとんでもない厚さになるわけだ。
肝心のエリプスは動いていたのでほとんど確認できなかったが、冒頭に書いたようにデッドビートの回転運動はよくわかった。ただブロッカーアームのヒゲゼンマイがなぜ緩急針がついているような形態をしているのかは分からず。脱進機周りがスコーンと抜けているのでおそらく(想像でしかないが)輪列そのものは結構小さいのではないか。よって複雑機構に厚さそのものはほとんど食われていると想像され、スペース的には結構もったいないものと想像した。この脱進機構はビヨンであるためかもしれないが、やはり結構厚さを必要とすることは間違いないであろう。よって、もしこの機構を用いた機械を作るとすれば厚さも必要であろうことから、12〜13リーニュ程度の堂々としたサイズになることが予想される。もしこのような機械が量産されれば、今のJLCにはまた非常に大きなガワを持ってきてしまうことは必至で、その前に現体制がなんとかならないものか?などとトリプティックを見ながら考えてしまった。

さて完全に妄想だと思うが続けてしまおう。
話は全く変わるのだが、今年2006年はレベルソ生誕75周年である。そして来年2007年は、私の大好きなあの時計の生誕50周年なのだ。そこで、この変形デテントを用いたセンターセコンドのクロノメーター三針時計が来年発表される?かもしれない。(Unitasの面々には無い無い、と言われたが)私はまだJLCに対する希望を捨てきれていないのである。
(妄想ついでに書いてしまうと、JLCではなくVCなのだが、2008年はVCにとって、特別な年である。そう、クロノメーターロワイヤル生誕100年だ。これも何か目玉が出るのでは?と期待してしまうのである。)

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2006年9月 6日 (水)

今年の潮流 Part 2

明らかにジャーナリスト諸氏はリヒャルト・ランゲが今年を象徴する名作だ、と捉えており、基本的に全く同意する。
精度を追求した全く新しい三針時計が、30mmを越えるサイズの完全新設計機械を登載して発表されたということが、非常なトピックであることは疑いが無い。
この時計はデッキウォッチ(マリクロではない。ポケットクロノメーターはデテントのイメージだが、それがレバー脱進器になっても高精度をたたき出すことが出来たもの)のイメージで作られており、ムーブメントに比べて若干大きめ&厚めなケースサイズでデザインされたものと認識する。センターセコンドにローマンインデックスというところ、シングルサンクのダイヤル(イメージ)、とかなり古典的な外見でやっぱりそそられる。この時計は、センターセコンドのデッキウォッチの再現であるから出車は極めて正統で、そしてこの出車ブリッジがあるために機械が厚くなった。この厚さとバランスを取るためにやや大きいダイヤルとケースが与えられ、この時計が出来上がったと捕らえている。なお長針も先端をカーブさせていなかったり、玄人がツボであるポイントよりもオリジナルのイメージ、正統さ、真っ当さにウェイトをおいているあたり軸がぶれていない。このアティチュードは非常に共感する。

しかしここまで素晴らしい時計でも完全に好みかと言えば、微妙に違う。デッキウォッチとしてこの時計が正しいことを認識しつつ、スモセコが8時位置でもいいから出車をやめて、ケースサイズも37mmくらいにして、出車のブリッジを削った分、ケースも若干薄く、ダイヤルはローマン、シルバーダイヤルか出来ればポーセリン(12が赤はやめて黒で)、針はランゲ標準で十分なのでスモセコは青針で。こんなのを出されたら即決なのだが。

ではリヒャルト・ランゲがダメと言うことは全く無く、やはり誰がなんと言おうと素晴らしい時計だ。感心したのは、機械は最新の機構でありながらトラッドな外見を持ちえたことである。フリースプラングにしてスワンネック(=緩急針の微調整機構)付きというのは、最初は理解できず矛盾していると思ったのだが、このスワンネックはヒゲ持ちの微調整に用いると聞いて納得という次元を超えて、これはすばらしい機構であると思った次第。
GOのダブルスワンネックでは「ふーん」だったのに。これはGOのように緩急針とヒゲ持ち両方とも微調整できるのも良いが、どちらかと言うとフリースプラングでこそ生きる機構だと思う。そして、フリースプラングでチラ無しのCリングのマスロットつきテンワ、4本アミダ(しつこいが)というのは今最も私が痺れる仕様である。
ということで、あらゆる視点で見てもこの脱進機周りは実に素晴らしい。
出現の仕方は突然変異的に感じるかもしれないが、この時計は実に古典に則っている。そして道を踏み外さずに機械式時計として正常進化しており、これが機械式時計史に残る名作であることは疑いが無いであろう。

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2006年9月 4日 (月)

HENTSCHELの店頭価格

私は事前情報があったので度肝を抜かれることは少なかったのだが・・・
H1 YG mid      ¥1,029,000
H1 WG mid     ¥1,150,000
H2           ¥588,000
H2 Angular   ¥566,500
(記憶で書いていますがほぼ合っていると思われ)
正直H1がミリオン行くとは思ってなかったっす。

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