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2006年1月28日 (土)

イングリッシュレバーについて(その4〜English table-roller lever escapement)

Table-roller lever(いわゆるイングリッシュレバー)は、英国における開放レバー脱進器の最終形態である。それは1823年頃に現れ、約100年間も用いられた。ライトアングル配置が再び用いられており、ガンギ車の歯はとがった三角形である。レバーのスロット端は、MasseyやSavageとは異なった形をしている。断面が片楕円の、またはアルファベットのDの形状をしたimpulse pinが天真ローラー表面に突き出た形状をしている。テンワがレバーと勘合する振動中心に位置したとき、impulse pinはレバーのスロットと勘合する。ギヤートレインは開放されて発生した衝撃がガンギ車からレバーを介してローラーのimpulse pinに伝わる。その結果テンワが揺れ、同様にレバーのスロットがimpulse pinとテンワが揺り戻して勘合するまでレバーから開放(detached)される。

レバーはテンワが分離されて自由振動し、中立に戻るまでの間、移動させられた状態となる。そしてレバーのスロットの下面にあるセーフティーピンはローラーと接触したのち天真ローラーの外側表面で停止する。摩擦静止状態のセーフティーアクションは、レバーのスロットに勘合するまで続く。ローラーの外表面には小さく三日月型の切り欠きがあり、通常のガンギ車の一歯を解放するアクションの間、セーフティピンを逃がす。

セーフティピンと小さな三日月型切り欠きを持つシングルローラー型は、ダブルローラー型に取って代わった。インパルスローラーにはimpulse pinが取り付けられており通常のレバーに脱進作用をもたらす。そしてもう一つ、より小さな直径のセーフティローラーと言われるものがついていて、安全ダート(Safety dart)を三日月型の切り欠きで逃がす。この安全ダートは、シングルローラーのセーフティーピンの代わりにレバーの下面から生えているものである。

1850年以降製造されたの英国製懐中時計は、ほとんどイングリッシュレバー脱進器である。この形式の脱進器は長く使われ続け、時間も正確であったことから、当初ほかの形式の脱進器が使われていた時計も多くが後世イングリッシュレバーに置き換えられて使われたとのことである。

ということで、最終的なイングリッシュレバーと言われる脱進器に至るまでをなんとなく調べて書いてみたが、detached lever escapementの発明こそが機械式時計の発展にはものすごく大きな事象であったことは疑いが無い。故にこの時代のイギリス懐中というものに改めて畏敬の念を抱く訳だ。

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